= そうふけっぱらのきつね・解説 =


 このお話は、現在の千葉県印西市に伝わる民話をかなーり現代風にアレンジしたものです(汗)
 そうふけっぱらは漢字で「草深原」、いまでも地名として残っていますが、それだけ草深い原っぱだったんですね。
 原作は印西町民話集「光堂の竜」に収録されているほか、印西町教育委員会(当時)が梶山俊夫氏作画の絵本を1992年に発行しています。印西市の図書館に収蔵されていますので、興味のある方はお問い合わせください。キツネの民話は全国各地でたくさん語られていますが、その中でも傑作のひとつだと思います。ちなみに、原作中でも登場するイヌの名前は「カメ」です・・・
 全国に稲荷神社が祀られ、昔話への出演回数でもおそらく日本の野生動物界でナンバーワンといっていいキツネ。そうした時代背景を踏まえたキャラクター性があって、キツネは現代のサブカルでも人気者ですよね。九尾のキツネ、葛の葉キツネ、妖狐、稲荷神系狐耳少女etc. だれもがよく知っているとても身近な野生動物のはずですが、雑食性が低く行動圏が広いことが禍してか、タヌキより都市環境との相性は悪いようで、いまでは街中でその姿を見ることはまずできません。
 そんな中、都心から1時間ほどで行けるベッドタウンで、キツネがいまなおひっそりとでも生きていける環境があるとすれば、とても素晴らしいことです。「キツネの住める街」というキャッチフレーズは、若い世代にもとても魅力的に映るはずです。開発を進めるにしても、自然を残すことの〝多様な価値〟に配慮しながら、街づくりにつなげることが大切なのではないでしょうか。