青年は菓子屋のおやじの言いつけで、木下(きおろし)というところまで菓子の原料となる米や小豆、砂糖を仕入れに行くのが日課だった。
天秤棒で重い荷物を背負い、広いそうふけっぱらを横切っていくのだ。
途中、青年は一軒の農家の前を通りかかった。
そこには一匹のいぬがいて、青年を待ちかまえていた。
「やあ、カメ 元気かい?」
「あっ、お兄さん! 今日もお仕事お疲れさまです
ちょっと待て。話が違うぞ!
あんた、動物が苦手じゃなかったんかい!?
あんなドンくさいいぬに……しかも名前がカメなんていぬに負けるなんて……
きつねは大いにショックを受けた。

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