あるとき、竜は思いきって女に化身し、沼のほとりをぐるりとまわってみた。 日の光はまぶしく、田んぼの稲も森の緑もあざやかで そよぐ風と鳥の声はここちよかった。 そこは、よどんだ沼の底にある、竜の住みかの深い穴ぐらとは別世界だった。 それからというもの、竜はおりにふれて沼の外へ散策に出かけるようになった。
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