竜がとりわけ興味をおぼえたのは
 沼のまわりに村をきずいて住んでいるニンゲンたちだった。
 田畑を耕すもの、炭を焼くもの、機を織るもの、網を打つもの
 だれもがひたいに汗してせわしなくはたらいている。
 とるにたりないことで、大げさに泣いたり、怒ったり、笑ったりしながら。
 千年万年のときを生きる竜にくらべれば
 またたくまにすぎない短い命をせいいっぱい生きている。
 そんなふしぎな生きものに、竜はなぜか惹かれたのだった。

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