ときは流れ、いくども季節がめぐった。
 釈沖は奥州の高僧のもとへ弟子入りするため、村から旅立っていった。
 茂吉をはじめ、村人はみんな年老いていった。
 めんどうをみていたこどもらもすっかりおとなになり
 竜は親たちと同じように、今度はその子らの世話も焼いた。
 彼女だけは年をとることもなく、若い娘のままだった。
 そして、村で生まれ育ち、連れ合いを見つけ、子を養い
 老いて死んでいく人々を ずっと見守りつづけた。
 村人もまた、そんな竜を世代を越えて慕うのだった。

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