竜はしずかに歩みでて沼の岸辺に立った。
「わ主らにこの姿を見せるのは気がすすまなんだが・・・」
「そりゃあ、あんときおらの目の前で変化してみせりゃあ
 一発でおらの腰抜かせたに、わざわざ薬師様こさえるぐれえじゃからなあ。
 でも、いまさらお主の正体見たって、だぁれも驚かんぞな」
 茂吉がニヤリしていうと、竜も笑みを返した。
「ハハ、それもそうじゃ」
 竜は衣をするりと脱ぐと、沼の葦の間に消えていった。

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