やがて、沼の中央の淵のあたりに細波がたちはじめた。
 波はしだいにはげしくなり
 沼の水はゴーゴーと音を立てて中心に向かって大きな渦を巻いた。
 村人たちがかたずをのんで見守るなか
 ふいに巨大な水柱が渦の中心からたちのぼった。
 そして、その水柱の中を 蒼く輝く美しい竜がのぼっていった。
 村人たちは、しだいに天高く遠ざかっていく竜を
 ただぼうぜんと見上げるばかりだった。

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