と・・・竜が消えた天の一角に黒雲がにわかにわきたったかと思うと
 とつぜん轟雷とともに激しい雨が降ってきた。
 雨は乾ききった大地をたちまちうるおしていった。
 すっかりしおれて元気をなくしていた草花もみずみずしさをとりもどした。
「雨じゃ! 雨じゃぞ!!」
 だれもがずぶぬれになり、泥にまみれながら喜びはしゃいだ。
 釈沖一人だけが竜の去った空のかなたをじっと見つめていた。

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